[高島規郎]

絶賛発売中

［高島規郎物語］ ミスターカットマンが
魂を入れた究極のカットマン
ラケットは「美しくて強い」

　まるで選手が世界選手権に出るために自分だけのラケットを開発するかのように高島規郎は細部にこだわった。

　中学から始めた卓球。持ち前の研究心と努力によって、指導者もいない中で強くなり、近畿大付属高校2年の全日本ジュニアで3位に入ったが、インターハイでは団体で決勝に行っただけで、高校時代で全国優勝の経験はなかった。
　近畿大学に入学後、頭角を現し、1年の時に世界選手権名古屋大会の代表に選ばれた。大学3年の時に、全日本チャンピオンになり、3度の優勝を果たした。

　大学2年の頃から樋口俊一に師事し、猛練習に明け暮れた。朝から夜まで、時には徹夜でボールを打ち続け、1日20kmのランニングを課し、夜中に両手に石を持って走ることもあり、大学の中では「高島は頭がおかしくなった」と言われ始めた。
　「他人に20km走れとか、夜通し練習をやれ、と言われてやるのでは意味がない。気づいたら20km走っていました、気づいたら夜通し練習してましたというのがチャンピオンになる人の異常行動です」
　「個人個人に備わった才能がある。他人と同じことをやっても自分のものにならない。他人と違うことをして、自分しかできない才能を引っ張り出さないと、自分のものにはならない」
　当時、世界選手権の前に樋口に渡されたラケットが桧3枚合板のラケットだった。コートのどこからでも糸を引くようなカットを打ち続け、チャンスと見れば一打必殺の反撃を可能にしたラケットだ。猛練習と高い技術力に裏打ちされた高島にとって、ラケットに当たりさえすれば相手コートに入っていく感覚があった。体とラケットが一体化された瞬間だった。

　その後、1975年の世界選手権カルカッタ大会で3位に入るが、ステパンチッチ（ユーゴスラビア）との準決勝で、完全に相手がカットを打ちあぐみ、肩が上がらなくなったところで雨漏りで中断して、相手が息を吹き返した。あの雨漏りがなければ、世界タイトルを手中に収めたかもしれない。

　そして究極までに自らの身体を追い込み、作り上げた男はラケットにもこだわった。
　「日本製の桧（ひのき）の3枚合板にはこだわりがあり、カットが台に収まる感覚や直線的に近い軌道を求めた。またグリップの振動を抑えるため、特殊素材をグリップ部分のみに接着。グリップは重みと親指が当たる部分にこだわった」と高島は語る。「中国桧や台湾桧もあるが、独特の食いつくような打球感は木曽桧でしか作れない」。
　親指の当たる部分は明らかに他のシェークラケットとは違う。ゆるやかなカーブをつけて削られている。「握った時に親指がスッとグリップ部分に入っていく。ツッツキとカットで手首を使いやすくするためにグリップもやや短めにしている」（高島）。
　またグリップの内部には空洞を作らず、一枚板を使っているのも適度な重みをグリップに持たせることで全体のバランスを保っている。
　「カットをすればネットの上までは直線的に飛んでいくが、そこからブレーキがかかったようにボールは沈んでいく。だからカットのバウンドが低いので相手に打ち込まれない。形状も含めて、非常にオールラウンド性があるので、攻撃選手でも使うことができます」と高島は語った。
　ミスター・カットマンが世界で活躍し、頂点に近づいた時の「神のラケット」を現代に蘇らせたのが［ザ・レジェンド　高島規郎］ラケットである。
　カットの安定に苦しんだり、どうも相手にカットが打ち込まれやすいと悩んでいる選手、カットマンであっても攻撃力を求める選手に使ってほしい一本だ。

◉たかしま・のりお
1951年（昭和26年）7月17日生まれ、大阪府出身。近畿大付高の時に全日本選手権ジュニア3位、近畿大に入学後、3年で全日本選手権優勝。全日本選手権では3回の優勝。1975年世界選手権カルカッタ大会ではシングルス3位。華麗なるカットと広い守備範囲で「ミスター・カットマン」と呼ばれた。現役引退後は、近畿大教授として教鞭をとり、全日本男子監督も務めた

レジェンドシリーズ
高島規郎

●シェークカット攻守型
●木曽桧3枚合板
●グリップ：ST
●板厚：6.7mm
●重量：85±g
●サイズ ／mm
ブレード：157×150
グリップ：97×24
●24,200円（税込）
　ST：310355
Made in Japan

https://www.victas.com/ja_jp/products/blade/legendseries/noriotakashima