「今、世界のトップ選手の多くがESNのラバーを使用しています。これは、ESNのラバーがトップの選手が使えるラバーになったという証明です」

2025年03月19日

今世界のトップで頑張っている選手たちがESNのラバーの品質を信頼してくれ、使い続けてくれるようになりました

ーー2024年のオリンピックではすでに証明されました。男子シングルスのベスト4のうち3人(モーレゴード/F.ルブラン/カルデラノ)がESNのラバーを使っています。

松下 今、世界のトップ選手の多くがESNのラバーを使用しています。これは、ESNのラバーがトップの選手が使えるラバーになったという証明です。

パトリック・フォーケル(以下PF) ぼくが入社した当時(2014年)は、開発が非常に険しい茨の道でした。当時、ヨーロッパでも選手たちのESNラバーに対するイメージはお世辞でもいいとは言えない厳しい状況からスタートしましたが、いろいろな選手と話をして、選手のフィードバックも取り入れて開発を進めていく中で、ようやく若い世代の選手たち、今世界のトップで頑張っている選手たちがESNのラバーの品質を信頼してくれ、使い続けてくれるようになりました。と同時に、その選手たちが少しずつ中国選手にも勝てるようになっていったというのが、選手にとっても、我々ESNの開発メンバーにとっても「正しい方向に開発している」という自信になったのです。特に去年のパリ五輪の男子シングルスの結果でもそのことがわかります。

ただ、我々は最終的に開発のほうで頑張っていますが、実際に選手たちと密にやり取りをしているのはメーカーです。メーカーが選手をいろいろな方面からサポートしない限り、我々もその選手たちをサポートできない。VICTASのように、選手をサポートする力強いパートナーがいるからこそ、我々も頑張れます。

ーー今後、VICTASがESNに、ESNがVICTASに求めるものは何でしょうか?

松下 選手のプレースタイルにはさまざまな違いがあるので、選手が満足するようなラバーを作ってもらいたい。売れるラバーももちろん欲しいが、そこが一番ではない。一番は、いろんな選手がESN製のラバーを使って喜び、満足してもらい、その結果、売れたらうれしいのです。

PF やはりプレーヤーファーストで物事を考えいくことが大事です。いくら開発のほうで数値を測定した上で高性能のものが出てきたとしても、ラバーを使うのは最終的に選手だから、選手が良いと思わなければ市場にも受け入れられない。

長年VICTASと仕事をしている中で、常にトップ選手をサポートしているメーカー、選手たちが信頼を寄せているVICTASと、これからもより密に連携を取り合って、多くの選手に受け入れてもらえるようなラバーを一緒に作っていきます。

ーー今後、VICTAS×ESNでさらに素晴らしいラバーが出てくると期待していいでしょうか?

松下 もちろん。そして、なんでも入る夢のようなラバーが作れたらいいですね。それぞれの選手が思っている価値観の中で、たとえば「使いやすいラバー」と「勝てるラバー」は異なる。勝てるラバーが欲しい人は9回ミスしても11回得点ができるラバーが良いと感じるかもしれません。しかし、それよりも自分が打っていて心地良いラバーを探している選手もいる。それぞれの選手たちの要望に応えられるようなラバーを、ESNと協力しながら作っていきます。

ラバーにはメーカーの独自の仕様と色が出るのです

ハンス・パーソン(Hans Persson/ESN CEO)

VICTASとは10年以上、良好な関係を持っています。その中で卓球をどのように発展させていくのかという議論も続けてきました。なぜESNが表に出るようになったかと言うと、現在300名を超える社員がいて、その中にはハイレベルで学術的な教育を受けた研究者がいて、テクノロジーを駆使しながら、将来、さらに卓球の発展のためにやれることがあると感じているからです。さらに我々はラバー工場という範囲を超え、協会やITTF(国際卓球連盟)とも議論をしているので、メーカーの背後に隠れるのではなく表に出ていきます。

2つ目の理由は供給している卓球メーカーとさらに協力していくために、お互いが深く卓球を理解することが大切です。我々はただラバーを作るのではなく、卓球メーカーとの協力のもと、卓球市場に貢献していきます。今回、卓球メーカーのVICTASとの協力関係をオープンにしましたが、彼らの卓球への知見を必要としています。

 我々のテクノロジーとラバー仕様とも言える「Cタッチ」「Hタッチ」「テンゾーテンション」というカテゴリーを示し、メーカーは商品のプロフィールを考え、仕様を提示してきます。それによって、商品がどこをターゲットにするか、スポンジ硬度、トップシートのジオメトリー(粒形状、密度など)、表面の粘着度などのいくつかのパラメータ(要素)の希望を聞いて、サンプルを作っていきます。メーカー独自の要望やマーケティングがあるので、同じものにはなりません。

そういったことがそれぞれのメーカーとの話し合いで決まっていくので、ラバーにはメーカーの独自の仕様と色が出るのです。あるメーカーのコピーのラバーを他社に供給することはありません。

VICTASは非常に興味深い会社です。我々と同じ方向性を向いています。松下さんは非常に有名な選手であり、発展させるべき卓球の将来に対しても同じ目標を共有できています。

また、ESNはラバー製造のテクノロジーの発展、トップ選手の用具開発、将来トップになるであろう選手たちのスカウティング、卓球のデジタルツールの開発などにも着手しています。それらの共同作業をこれからVICTASと行っていきます。

将来、VICTASとの協力で、ビジネス戦略、テクノロジー、選手に関する深い議論を行っていきます。その結果が商品に反映されたり、商品戦略にもつながっていくのです。