松平賢二が語る「用具とテクニック」。
「ラバーのお陰で自分の進化を確認することができた」

2023年11月28日

「少し『ため』を作ってボールを打つとか、
あえて飛ばさないドライブを打ったりとか、
緊張した場面でもコントロールできた」

MATSUDAIRA, Kenji

松平賢二

2023年全日本社会人チャンピオン
協和キリン
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●まつだいら・けんじ
1989年4月6日生まれ、石川県七尾市出身。青森山田高ではインターハイ3位、全日本選手権ランク入り、全日本ジュニア2位。現在、協和キリンの選手兼監督。2009,2011年全日本選手権3位、2012年世界選手権団体銅メダリスト。2014年全日本社会人選手権優勝、2015,16年同大会ダブルス優勝、2023年10月の全日本社会人選手権で9年ぶりの優勝を飾った
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全日本社会人チャンピオンとなった松平賢二(協和キリン)。
かつて世界選手権団体にも起用され、男子ダブルスではメダルまであと一歩と近づいた元日本代表選手。
34歳となった今も、体を鍛え、向上心を忘れない男だ。体同様、用具にもこだわった男が、自身の用具での新たな発見とともに、大会を振り返ってくれた。

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準々決勝との笠原弘光(Handy)、0‐2の(3ゲーム目)4‐10からまくりました。でも4ゲーム目を9本で落とし、1‐3になり、きつかったけど、なんとかそこから逆転できました。
次の準決勝は小野寺翔平(リコー)で、ここでも2‐2の5ゲーム目、0‐4からの逆転でした。決勝の丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)でも1‐2とゲームをリードされてからの逆転でした。今回は逆転で流れを引き寄せることが多く、我慢強くやれました。
9年ぶりの社会人優勝ですが、その後も全日本の個人タイトルはなかったし、講習会でどこかに行ってもぼくの経歴は2014年のこの社会人優勝でした(笑)。今回の優勝でアップデートできます(笑)。
今回の社会人選手権は協和キリンがチームとして頑張ってダブルスも1、2位をとり、前半で良い雰囲気が作れたし、会社の人も青森まで応援に来てくれて、ぼくらは団体戦をやっているようなチーム一丸の雰囲気でしたね。

今回は競り合いが多くて、そういう厳しい状況の中で、振り切った時に自分の思うようなボールがいってくれたのが大きいですね。
ぼくはいつもぶっ放すタイプでボールが直線的に行くので、ネットミスもあるし、オーバーミスもある。緊張すればするほどスピードボールを打つことが多い。ところが、今回は我慢しながら、球持ちを少し長くしつつ、いやらしいボールを出そうと意識していましたが、競った場面でもそれができていました。
下回転のボールに対してはループドライブもできるし、速いドライブもできるんですが、ドライブの打ち合いになった時に、少し「ため」を作ってボールを打つとか、あえて飛ばさないドライブを打ったりとか、緊張した場面でもそれをコントロールできた。それはぼくの腕だけではなく、[V>22](V>22 DoubleExtra)のトップシートとスポンジが非常にマッチしていた感覚なんですね。

10月の全日本社会人選手権の決勝は松平賢二と丹羽孝希の「V>22」対決となった

このちょっとした工夫というのは、最近の若い選手のスピードのある卓球に対しての対抗策でもあります。
スピード対スピードの卓球では、ぼくは若い人についていけない。若い世代とも練習も十分にできない。日本リーグで愛工大と戦ったりすると、それを強く感じたんですよ。前でただ速くプレーするのではなく、後ろに下がってもタイミングや回転量をずらしたりとか、粘り強くボールに変化を与えることを最近は意識しています。それが今回発揮できましたね。

「今回は我慢してプレーできた。ラバーにも助けられたのが大きい。
これ、契約スポンサーのために語っているんじゃなくて、ホントなんですよ」

[V>22]はちょうど1 年くらい前から使っています。
最初の感触でも、スイートスポットは広くて、平均値の威力が[V>22]は高い。威力とコントロールのバランスが相当にすぐれていて、使い始めた時からすぐに慣れましたね。
今回、ひとつ言いたいのは、大会で試合をやりながらラバーのお陰で自分の進化を確認することができた点です。たとえば、相手にツッツキを送り、あえて打たせておいて、そのボールの回転を残しながら返す技術が相当に効いていた。小野寺、丹羽に対してもチキータ処理がうまくいった。いつもだったら、相手のチキータに対しても自分のボールで返したいということで、打ちにいってぶっ飛ばしてミスをしていたんですよ。

この小野寺と(丹羽)孝希とやった時も最初に打ちミスが出ていたら、ベンチに入った田原に「賢二さん、それ前についてタイミングでトトンとできないんですか?」と言われて、やってみたらできたんですよ。
ぼくの言う、「タイミングでトトン」というのはつまり、無理に打ちにいくのではなく、前で相手の回転を残しながら合わせていく技術です。変化が残って返っていくために、効果的で、自分のサービスやレシーブにも余裕が生まれました。今までのぼくにはない技術で、これはラバーへの100%の信頼がないとできない技です。これを試合中にできたことがかなりの収穫でしたね。
練習でもやっているんですけど、試合になると打ちにいってしまう。それでバックハンドの距離感もおかしくなって、無理にフォアで回り込んでミスをして負けるというのが、ぼくの定番なんですが、今回は我慢してプレーできた。ラバーにも助けられたのが大きい。
これ、契約スポンサーのために語っているんじゃなくて、ホントなんですよ。

大会直前にラケットが使えなくなった。
「あれー、もう終わったよ」と思ったけど、
新しい「ゼクスギア アウト」がフィット

[V>22]は威力のあるラバーなんですけども、自分の手元に感覚があるので、自分の融通がきくラバーなんです。今回の社会人選手権の青森の体育館が広くて、出発前に軽め(軟らかめ)と重め(硬め)の[V>22]を準備して、会場によって変えるようにしていました。その違いも1g 程度の差しかないです。
実は10月4日にVICTASの撮影があって、その時に担当の人に「ぼくは古いラケットしか使えない。新しいのは無理だ」と言っていたんですけど、その2日後にラバーを貼り替えようとして、ラバーを剥がしたらラケットの木も持っていかれたんですよ(笑)。「あれー、もう終わったよ」と思いましたよ(笑)。そこから5 本くらいのラケットを試したら悪くなかった(笑)。結局、昨日優勝したラケットは10日くらいしか使っていない。「おれは天才かなと思った」という話です(笑)。使っているのは[ゼクスギア アウト]です。実は孝希が使っているラケット(「丹羽孝希ZC」も試したんですが、今回決勝は孝希だったんで、もしぼくがそのままラケットを使っていたら気まずい雰囲気になってましたね(笑)。
ぼくは両面[V>22]ですが、バック面には少し軟らかめのものを選んでいます。フォアとバックで1g違います。
バックのラバーは1g軽いものです。「その差がわかるのか」と思うでしょうけど、この1gの差は大きい。
ぼくはバックの技術力ないので、ラバーに頼るしかない。
そのためにはあまりラバーが軟らかすぎるとボールの回転に負けて落としてしまうので、表面で引っかかってくれたほうが相手ボールの回転も残るので、この1gはマジで大きい。

今回、勝ったけど反響の大きさにびっくりです。100件くらいLINEが来て、SNSでも多くの激励をいただきました。まだまだ頑張ります。
(取材:卓球王国)

相手の回転を残したままのブロックが効果を発揮した

相手の回転を残したままのブロックが効果を発揮した

台上技術のタッチも問題なし

台上技術のタッチも問題なし

松平選手の使用用具

フォア・バック面 V>22 Double Extra
裏ソフト
8,250円(税込)
https://www.victas.com/ja_jp/products/rubber/pinplesin/tension/v22-doubleextra

ゼクスギア アウト
木材5枚+Zカーボン2枚
16,500円(税込)
https://www.victas.com/ja_jp/products/blade/shakehand_racket/offensive/zx-gear-out

丹羽孝希×松平賢二
「V>22」を語る!【前編】

https://www.youtube.com/watch?v=WjwLtbNkW6M