VICTAS JOURNAL
全日本卓球速報 with 卓球王国
ハイレベルな女子シングルス。優勝戦線、そして五輪選考レースの結末は?
今回の全日本選手権は昨年とは日程が変わり、男女シングルスとも大会5日目の1月26日(金)にシングルス4・5・6回戦が進行。スーパーシードの32名が登場する4回戦からベスト8決定の6回戦まで進み、64名から一気に8名まで絞られる、非常にタフな戦いが繰り広げられる。
女子シングルスの第1シードは、昨年度大会でシングルスを含めた3冠を獲得した早田ひな。勢いそのままに23年5月の世界選手権個人戦でシングルス3位に入り、五輪代表の選考レースでも首位を独走する強さを見せた。「心・技・体」とも充実の時を迎えている。
第2シードは、その早田と昨年度決勝で接戦を演じた木原美悠(木下グループ)。高校を卒業し、プロ選手として歩み出した昨年は好不調の波はあったものの、着実に成長。国内屈指の攻撃力と爆発力、全日本という大舞台にビビらないメンタルで、3度目の決勝進出、そして初の頂点を狙う。
そしてここに来て優勝候補に躍り出たのが張本美和(木下アカデミー)。まだ15歳ながら、完成されたプレースタイルには卓球界からも称賛の声が止まない。昨年11月の全農CUP大阪大会では、過去一度も勝てていなかった早田から初勝利を収めて優勝を飾るなど、大会最年少優勝に向けて機は熟したか。
また、今回の全日本選手権は、パリ五輪のシングルス選考ポイントの最後の対象大会となる。すでにパリ五輪の代表候補内定選手2名が決まっている男子に対し、女子は1位の早田に続くシングルス2枚目の切符をかけて、2位の平野美宇(木下グループ)と3位の伊藤美誠(スターツ)が最後まで接戦を演じている。ともに今大会の優勝候補でありながら、異なるプレッシャーとも戦わねばならない。
平野と伊藤のポイント差は「34.5ポイント」。逆転可能な点差だが、僅差ではない。伊藤は平野よりも2ラウンド以上勝ち上がらなければ逆転できない点差になっている。両選手は決勝まで当たらない組み合わせだが、平野が決勝に進出した時点で伊藤の逆転はなくなる。直接対決で決着をつけるのではなく、初戦となる4回戦から一戦必勝で勝ち上がることが求められる。
世界的に見てもレベルが高く、多彩なプレースタイルが揃う日本女子。昨年の全日本学生女王となったフォア表ソフト・バック粒高の出澤杏佳(専修大)、独特なペンホルダーグリップで昨年の世界ユースU15で4冠獲得の小塩悠菜(星槎中)など、個性と強さを兼ね備えた選手たちの活躍にも注目だ。ミキハウスの誇るツインカット、橋本帆乃香と佐藤瞳。強烈な横回転を加えたカットから鋭い反撃を見せる小塩遥菜(JOCエリートアカデミー/星槎)などカット型のプレーも大いに会場を沸かせるだろう。