VICTAS JOURNAL

全日本卓球速報 with 卓球王国

今年も開幕、全日本卓球。強打者揃いの男子シングルスを制するのは誰だ?

前回初めてシングルスの表彰台に上がった曽根翔。今大会はさらなるステップアップを目指す

 昨年、3年ぶりに全日程が有観客で開催された全日本選手権は、今大会はフロアエリアのアリーナ席も復活。声を出しての応援も全面的に解禁となり、長いコロナ禍を経てようやく「いつもの全日本」が戻ってきた。卓球人にとって興味の尽きない大会だが、まず男子シングルスの見どころからチェックしていこう。

 やはり優勝候補の双璧は、前回大会も決勝で対戦した戸上隼輔(明治大)と張本智和(智和企画)。4−2で勝利した戸上が全日本2連覇を達成した。さらに両選手はパリ五輪・シングルス選考ポイントによる代表選考レースを勝ち抜き、張本が1位、戸上が2位でともにパリ五輪シングルスの代表候補予定選手となった。今大会も選考レースのプレッシャーから解放されて戦えるのは強みだが、1月はカタールでWTT3大会を戦い、大会開幕直前の1月20日に帰国して大会に臨むハードなスケジュール。直前の調整がカギになりそうだ。

男子シングルスで3連覇を狙う戸上隼輔

 それを追うのが、前回3位の曽根翔(T.T彩たま)や篠塚大登(愛知工業大)、昨年のアジア選手権で王楚欽(中国)を破った田中佑汰(個人)といった若手の実力派プレーヤーだ。前回初めてシングルスの表彰台に立った曽根は、全日本になると強さを発揮する「全日本男」。高い打球点から放つ両ハンドカウンターはまさに大砲で、威力と速さを兼ね備える。初の決勝進出へ向けて気合い十分だ。

 世界ランキングを日本男子3番手の33位まで上げている松島輝空(木下アカデミー)も注目選手のひとり。ジュニア以下のクラスには昨夏のインターハイ優勝の三木隼(野田学園高)、全日本ジュニア王者の萩原啓至(愛工大名電高)など力のあるサウスポーが揃うが、攻守の安定度では最も若い松島が一段上を行く。国際大会での活躍で自信をつけ、今大会での飛躍はあるか。

16歳ながら世界ランキングを33位まで上げてきた松島輝空

 昨年、34歳にして全日本社会人で2回目の優勝を飾った松平賢二(協和キリン)、2021年大会準優勝の松平健太(ファースト)も上位を狙う。2024年は年初から、出身地である石川県七尾市が能登半島地震で被災。妹・志穂も出場し、「松平3兄妹」の揃う今大会で、被災地へ勇気を届ける活躍を見せたい。

剛腕・松平賢二、故郷の被災地へ勇気を届ける活躍が見たい

 男子シングルスでは前述の戸上・張本の他にも、吉村真晴(TEAM MAHARU)、丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)、宇田幸矢(明治大)、及川瑞基(木下グループ)らが過去に優勝経験を持つ。日本卓球界が誇る「ファンタジスタ」丹羽は、順当に勝ち上がれば5回戦で青森山田の同期である吉田雅己(木下グループ)、そして6回戦では張本と当たる組み合わせ。今年で30歳になる丹羽だが、Tリーグでも松平健太や田中佑汰らを破るなど、その強さは健在。今大会でも大いにファンを沸かせてくれるはずだ。

最速のファンタジスタ、丹羽孝希のプレーを楽しみにしているファンは多いはずだ