VICTAS JOURNAL

世界卓球速報 with 卓球王国

3時間40分の死闘。日本、中国に及ばず、しかし感動をありがとう

●女子決勝
〈中国 3−2  日本〉
◯孫穎莎 5、8、4      張本美和
陳夢  6、−8、−9、−12  早田ひな◯
 王芸迪 −8、−11、−10   平野美宇◯
◯孫穎莎 2、7、6       早田ひな
◯陳夢 −4、7、8、    張本美和

 質の高い孫穎莎の両ハンド攻撃。張本は得点するまでのあと一球、ゲームをコントロールするためのあと一本が遠い。2ゲーム目、8−8まで迫ったが、2本のレシーブミスで突き放された。

1番で世界女王と対戦した張本。ラリーにはなるものの、うまく得点に結びつけられなかった

 2番は早田と陳夢。1−1の3ゲーム目10−5と早田がゲームポイントを取るも、10−9まで追い上げられ、日本がタイムアウト。次の一本、陳のミドルへロングサービスを出してからの強攻で11−9でゲームを連取した。4ゲーム目、競り合いながら8−7からの素晴らしいプレー、素晴らしい体のキレを見せた早田。先にゲームポイントを奪ったが、陳に追いつかれる。13−12とマッチポイントを取り、次のツッツキレシーブがネットインで入り、勝利が決まった。

これまで何度も敗れていた陳夢に世界選手権決勝という大舞台で勝利した早田

 3番は平野対王芸迪。試合ごとに調子を上げている平野はバック対バックでのミスがない。また要所でネットインやエッジボールなど運も引き寄せ、最後は堂々たる勝ちっぷりでストレート勝ちした。日本は優勝に王手をかけた。

ラリーの中に緩急も織り交ぜた平野。ハリケーンが止むことはなかった

4番のエース対決、早田対孫穎莎。早田は素晴らしいプレーを繰り出すが、孫の反応とカウンターのレベルが高く、跳ね返され、ストレートで敗れ、2−2となった。

2番で勝利して勢いのある早田を完全にシャットアウトした孫穎莎

 ラスト5番は15歳の張本がオリンピック金メダリストの陳夢に挑む。1ゲーム目、張本の積極的な攻撃と、陳は焦りなのか、緊張なのかミスが出て、11−4で張本が取る。2ゲーム目、互角のスタート、中盤から陳が気迫の攻守を見せ、11−7で取り返す。
 3ゲーム目、6−6から8−6、8−8、息詰まる攻防。8−9になったところで日本がタイムアウト。結局、8−6から5本連取され、8−11で落とした。4ゲーム目、出足で1−4とリードされた張本。しかし、4−4に追いつく。7−5とリードするも6本連取され、日本は敗れた。
 時計は深夜の11時40分を回っていた。試合開始から3時間40分の死闘だった。1971年以来の日本の優勝はあと一歩で叶わなかった。

5番で勝利した陳夢。張本と競り合いながらも、勝負所の決定力はさすが


「この優勝は3人だけのものではなく、チーム全体のもの。そしてサポーターの皆さんありがとう」(孫穎莎)。
日本は素晴らしい試合を見せた。そして優勝まであとわずかのところにいた。リベンジする場所はパリのセンターコートだ。

5番で敗れた張本だが、15歳という年齢を感じさせないプレーで世界に衝撃を与えた。パリ五輪の団体戦で中国にリベンジすべく、これからも前に突き進む